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一夜の

       ふわりと
        なでる
        かみと
        ほほと
       くちびると

       ふわりと
     かおりがつつむ
       まえから
       よこから
       うしろから

   いつもとおなじように
   いつもとおなじように?

       こえはなく

    あなたはいるけど
    あなたはもういない

無言

  言いたくないから
  …無言

  対等ではないから
  …無言

  きみが辛い顔をするから
  …無言

兎とオセロ

   足音を忍ばせろ
   呼吸は静かに浅く
   耳をそばだて
   風に混じるものを嗅ぎ
   目を絶え間なく動かせ
   警戒を怠ることなく
   速やかに…
 

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霧雨の外套

   湿った纏が
   ぼくを包む
   蜻蛉に似たそれは
   誰かの哀しみ

   目に映らない水滴は
   ぼくの体を重くする
   街灯の影に似たそれは
   誰かの存在

   一人でないこと
   一人でいられないこと
   漠然とその意味を
   ぼくは知っている


友人ではないきみへ

   友人ではないけれど
   身内でだってないけれど
   それでも顔見知りだから

   辛いのか
   哀しいのか
   怒っているのか
   僕にはわからない
   
   でも
   何もできなくてごめん

   優しい言葉は薄っぺらで
   いたわりはモザイクのようで
   真実がないように感じるかもしれない

   だけど
   いま 僕は君の事を考えてる
   いま 君の事だけを思っている

   何もできなくて… ごめんね
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多岐之一滴

Author:多岐之一滴
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